──さて、本日は第2回目、正式にはVol.1ということになりますが、いかがですか?
長かったですね。笑
──そうですか?
俺という人を知っている人には、謎だった部分が少し見えたのかなと思うけど、誰やねんこいつ。って方は、離脱必死ですね。笑
そもそも、情報の出し方っていうものに対する考え方がこの1年で結構変わって、興味ない人が仮にマスだったとしても、読みたくなきゃ読まなくてもいい。それよりも、少しでも興味持ってる人が読んでくれたらいいイメージですね。
──わかる人がわかればいいみたいな?
いや、そういうことだけではなく、インターネットに情報を出すということが、いつの間にかマスを取らなきゃ悪みたいな風潮に蝕まれて来ていて、本当にそういう情報を欲しい人からするとなんて回りくどいことやってんだろうと思うんだろうなと。
仮に0.01%だったとしても、世界中には何十億というユーザーがいるし、日本だけでも1億人以上いるんです。その中で俺みたいな仕事の仕方でご一緒できる方ってほんの数十人じゃないですか。残りの人生を考えても。
その人によりよく分かってもらえたらいいなと。誰でもいいわけでもなく、ターゲットは明確です。
──なるほど。確かにマスにウケるタイプではないですもんね。
失礼な。まぁでもその通りです。何か新しいことを始めたい人の手助けをすることが仕事なので、世の中にあるものを始めたいなら、それこそお金すら出さなくても有益な情報は山のようにあるし。
──確かに。そこで今回のテーマは「オンラインのあり方」です
オンライン?配信とかそういうこと?
──ですね。わざわざコロナ禍という言葉はつけなくてもいいと思うんですが、リモートワークや配信、セミナーなど、テクノロジーの世界で様々な方法でオンラインでのコミュニケーションがあります。
あるね。
──そこでオンラインのあり方ってことでいかがですか?
漠然としてるな。まぁでも、「代替えが利くか」、「新しいコミュニケーションになるか」じゃないですかね。
──と言いますと?
普通に皆さんの身近なことで言えば、Zoomなどの会議であれば分かりやすいと思うんですが、業務連絡程度であれば、リアルの会議の代替えとして必要十分なんでいいツールだと思う。けど、雑談しにくいじゃない?普段、会議の時、そんな画面をガン見するほどこっち見ないよね?とか思うと変な時間だなと思う。でもリアルな会議で資料を見せるとき、プロジェクタ繋いだり、PCの画面を相手に向けたり、紙資料配ったり、非常に面倒だけど、オンラインの画面共有で非常に効率的で、コミュニケーションとしてはスマートでいいよね。
一方で、意見をする人の格差は非常に大きくなったというか、俺はZoomでも相変わらず喋るけど、双方向性と言いながらファジーな部分が少ないから、多人数のブレストの場合だと司会進行する人の力量や、クライアント、制作サイドのどっちかの事前の意識合わせみたいなので仕事の質も参加者の存在感も現実の会議とはかなり変わってくる印象。
──確かに。相槌とかも打ちにくいし、裏でこそこそみたいな話もできないですもんね。
オンライン飲み会なんかもそうだと思うけど、そもそもZoomとかは、リアルのコミュニケーションの代用ツールではない。業務連絡に特化したチャットの拡張のような感じかな。今すぐ始められるってとこが最大のメリットだし便利。
顔を見て話せるとかはすごくいいと思うけど、って、もうこの手の話題は手垢まみれで2021年の話題ではないよね。
──笑。今更でしたね。
いえいえ、この話をし出したのは俺なので。
でも、肝心なのは、コミュニケーションの本質というか、何を目的として、どういう手段でオンラインを使うかだね。それができてれば非常に有効な手段が増えてきていいことだと思う。
──確かに目的としてオンラインツールを使っている間は否めないですね。
俺は色んなツールが生まれた時が一番楽しくて、ZoomとかもYouTubeとかも、どうやって使えばいいかなとか、こんな面白いことができないかなとか考えて使ってみる。けどこういう使い方が間違いない!とかみんなこう使ってるみたいなことがフォーマットになってくるとそこから新しい可能性はそのツールからは産まれにくい。マネタイズ的に仕方ない面はあると思うけど。
──ツールは達成したいことがありきで、どう使うか。その延長に何があるかに興味があるということですね。
会議ツールを作ろう!ってことでZoomを作ったわけではないと思うんだよね。そもそもZoomも、バックグラウンドには新しいデータの圧縮技術とかがあって、低遅延、安定通信で世界中どこでも使えるコミュニケーションツールができたら世界がもっと良くなるかもしれない!ってところの延長に、みんなが会議として使いやすいツールとしてのフォーマットがあったわけで、別に何に使ってもいいわけで。
──確かに。
馬鹿と鋏は使いようと昔よく親に言われたけど、使い手の問題だよね。
あと重要なことだけど、ハサミをハサミとして使えないとハサミはハサミとしてしか発展しない。オンラインはフィジカルと違って発展性というか、伸び代はまだまだ先があるわけで、これを使ってどんな面白いことができるかって考えることは何においてもすごく重要だと思う。そういう意味ではこれからじゃない?
──オンラインのあり方という点では、使い手次第ってことですね。
そういうことになるかな。
俺は性格的にも、このツールを作った人はなんでこういう機能を大事にしているのかなとか、これを世に出すことで世の中はどう変わっていくのかなとかバックグラウンド考えるんだけど、製作者の意図が反映されて伸びてくフェーズが好きなんだけど、この機能をつけてたくさんの人にサブスクでお金払ってもらって株価を上げようフェーズに発展して廃れていくか、他社のサービス買収してモリモリ大きくなってなんでもできる下手の横好きツールになるかなので、これはもはや使い手、ユーザーがそのツールの将来を図らずとも決めていっちゃってる感が否めないよね。もちろん悪いことじゃないけど。
俺はエンジニアでもスタートアップ企業の社長でもないから、ありがたいことに世界中の優秀な人の作ったツールをこうやって享受することで便利な環境を手に入れられているわけで、その優秀な人に感謝する意味でも新しい可能性を示すことはアリかなと思ってる。ユーザーとしても参加する意識は大事だなと思うって話が逸れちゃったね。
──先ほど、代替えが利くかという話がありましたが、そこをもう少し掘り下げてもらっていいですか?
例えば、誰が言ったかは知らないけど、全てはオンラインに移っていくというの、ありゃ飛躍した論理だね。
──先ほど、代替えが利くかという話がありましたが、そこをもう少し掘り下げてもらっていいですか?
同じこと聞かれた。笑
間違いじゃないと思うけど、結果全てオンラインには「いずれ」移っていくことにはなると
でもそれは単にある出来事を、右のフィジカルから左のオンラインに移すことではない。αという事象のあるこの一部分がオンラインに移行する。その他はどうしてもオンラインで代替えが利かないから、それを別の形に置き換えて達成した結果βという機能を追加し、さらにそのαとβからθという機能が追加されて、オンラインに移り切った時には、αβθというものになっているのか、全く別のδというものになっているということ。そのプロセスで工夫する力がない人にはオンラインのあり方は享受するだけになってしまうんだよね。その結果、帯に短し襷に長しなオンラインツールを使いこなすことができないことがままある。
──まだピンときません。それは食事という事象を、出前館で出前を取って、Zoomでオンラインディナーをするみたいなことですか?
そんなことやりたい?
──やりたくないですね。笑
さっきのαβθになる的な話だとそれも例えとしてはありだけど、代替えが利かないってのは、例えばその空気感だったり、温度感だったり、そもそもZoomだと会話自体別のものになってしまったり、トイレに行くタイミングだったり、色んな要素が詰まってて、それを包括したものが食事だったりするので、それは今すぐには起き変わらないよね。って話。
──そうですね。
もちろん、出前のオンライン化の便利さは、別のところにもあってコロナ然り、時代背景や社会情勢によって発展はしていくものだろうけど、Uberや出前館が食事に変わるものにはならない。むしろ、キッチンのないヴァーチャルレストランの市場は世界的にも増えていくだろうから、様式を変えて別の産業にも発展するだろうけどね。
──確かにヴァーチャルレストラン(宅配に特化した客席を持たないレストラン)はこの1年ですごく増えた印象があります
そうなると、立地だったり宅配コストの関係で新しい需要が生まれて、食べ物を入れる容器だったり、宅配という産業に大きな変革が起きるかもしれない。これはリアルとオンラインの相互作用で、もはや一番初めのニーズから離れたところに新しいニーズが生まれて、それを解決する手段として新しいツールが生まれる。
──なるほど。そういうプロセスを見る力っていうのは確かに重要ですね。
人類の歴史上でも、今は移動手段といえば、車や電車だけど、昔は足で歩いていて、そこで馬に乗り、車や電車になったわけだよね。振り返ってみたら当たり前のことだけど、馬が車になるって、馬しかなかった時に誰が車や電車の出現を想像できただろう。
その背景には、産業革命や工業革命があって、世界中の人たちの移動に対するニーズが多様化して、結果として別のものに置き換わったわけ。もちろんその変化は環境問題など別の問題ももたらす。
──なんかちょっと見えてきた気がしました。
すごい遠回りして話しちゃったけど、俺の仕事でもオンラインを使った仕事は配信やウェブ開発に関わらず多いんだけど、要約するとリアルの事象をオンラインにそのまま移行したいって依頼が少なくない。けど、そこで置き変わらないものはどうするのかってのが、一番本質的な問題だったりすることがままある。
接客とかもウェブになったからメールでいいんじゃなくて、掲載する文字や細かい細かい接客のノウハウを注ぎ込む必要があるわけで。
──なるほど。そうなってくると、オンラインのあり方としては、非常に重要な話ですね。なんでそんな回りくどい言い方しちゃったんですか?笑
漠然としてたので、色々考えちゃって。笑
──確かに時代はウェブだから、ウェブつくりゃいいんでしょ?みたいなことではないですもんね。
一番失敗する例よね。手段が目的化しちゃってる。
そこで、新しいコミュニケーションに発展するかなのよね。ホントこういうのは生き物みたいなもんだから、これっていう正解はない。寿命の短い商売でいいなら方法論やフォーマットみたいなものは存在するんだろうけど。
こうやって再現性のないことだからオンラインの仕事は楽しいのよ。顧客の数だけ方法論はあって、常識やそれを疑うことからまず始める。極端な話、自分の感覚すらも信じない。
さっきの話だけど、なんで開発者はこのツールを作ったんだろうって考えるのは自分には必要な発想で世界にはそんな事例が転がっているのが楽しい。
──面倒くさい人だなというのがありありと伝わってきますね。
余計なお世話です。
まぁオンラインのあり方という点においては、移動で言うところの馬が車になったくらいの変化だと思うので、馬に車輪をつけるとかそういったことではないですよね。
移動の結果、どこに行きたいのか、その先で何をしたいのか、そういった目的を掘り下げていく必要があると思います。
──コロナ禍においてよりそのスピードは急速に変わっていくでしょうね
コロナに限らず今よりもっとスピードが上がって変わっていくでしょうね。
──今回も長かったですね。
誰が興味あんねん(ヤナギブソン)状態ですね。笑